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ターキッシュアンゴラとの出会い 6



今回のブログでご紹介するリヴラリア・レロの素晴らしい画像は、spacesisさん撮影によるものです。
ポルトについて詳しく知りたい方は、ポルト在住のspacesisさんのウェブサイト、"spacesis in ポルトガル"と、"ポルトガル・ロマン"をぜひお訪ねください。
整理の悪さから、Sophiaのポルト滞在中の画像ファイルが見つからないので、spacesisさんにお願いしてご快諾いただきました。
これからも何枚かご紹介させていただきますが、spacesisさんのHPにはポルトガルの画像満載です。
上記の ”ポルトガル・ロマン”の文字をクリックして、ぜひ、郷愁の町ポルトの素晴らしさを知ってください。

ターキッシュアンゴラとの出会い 6では、ポルトの街をご紹介します。
画像を提供してくださったspacesisさんに、心からの感謝をこめて。

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レストランを出た私達は、Manuel の運転でお墓めぐりのミニツアーに出かけました。
「ポルトのお墓も、暗くて寂しいイメージよ。天国のように美しく輝く場所でないことは確かね。あなたが満足するような墓地は、この付近では残念ながら見つからないと思うわ。」
Maria はあまり気乗りがしないようでした。それでも心優しい彼女は、助手席でマップを見ながら、何箇所か墓地を見つけ出し、一生懸命マヌエルをナビゲートしてくれました。

小一時間ほどのミニツアーは、車を降りることもなく終わりました。
私達がその日回った中では、車を降りて中を見たいというほどの美しい墓苑はありませんでした。
思い描く理想のお墓はありませんでしたが、車中の私達は、お墓の話で結構盛り上がりました。
私が感動したお墓の話から始まり、白亜の霊廟、タージマハルにまで話題は広がりました。
博学のMaria は、タージマハルについて詳しく教えてくれました。
ムガール帝国当時の年代記には、「その美しさは、天上の七つの楽園をもしのぐ」と書かれているそうです。
最愛の妃を亡くしたシャージャハーン帝が、悲嘆にくれてこの霊廟を建てた話は有名ですが、このロマンスににふさわしい、夢のお城のような白亜の霊廟が、今は排気ガスで汚されつつあるという現実を思うと悲しくなります。

お墓めぐりの後、青いタイル絵、アズレージョの外壁が美しい、サント・イルデフォンソ教会近くのバターリャ広場で、Manuel は私達を降ろして仕事に戻って行きました。
広場から延びるサンタ・カタリナ通りを歩いて、少しウィンドウショッピングを楽しんだ後、マジェスティック・カフェで一休みしました。

マジェスティック・カフェは1920年代創業のカフェで、外観もさることながら、アンティークガラスを張りめぐらしたインテリアも本当に素晴らしく、クラシックで落ち着いた雰囲気です。
古くから各国の著名人に愛され、一度訪れた人は必ず又訪れたくなるカフェと絶賛されています。
ぜひマジェスティック・カフェのウェブサイト、
Cafe Majesticを訪ねて見て下さい。
ピアノ演奏の素晴らしい音色とともに、美しい建物の画像が現れます。
フラッシュで紹介されているHPは洗練されていて、ビデオページでは、まるでカフェの中にいるような気分を味わえます。
Topページでカフェの外観画像が現れたら、右上のEnglishを選択し、メニューの、Virtual Tourをクリック、 Videoをクリックで店内の様子が見れます。ローディングに少し時間がかかるかもしれませんが、待つだけの価値はあります。
Honor's Bookには著名人たちの賛辞がいっぱいです。

極上のエスプレッソで気分もリフレッシュした後は、マジェスティック・カフェから程近いリヴラリア・レロに案内されました。私のリクエストのひとつ、本屋さんです。
この建物も素晴らしく、価値ある歴史的建造物として指定されています。店内は壁一面の書棚で、蔵書の多さには圧倒されます。
天井のステンドグラスは感動の美しさです。



この画像は2階から上ですが、一階の店内に入った途端、息を呑む素晴らしさです。
”続きを読む”をクリックしていただくと、この素晴らしい本屋さんの内部画像がもっとご覧いただけます。
画像は最後の一枚を除いて、全てspacesisさん撮影のものです。

Maria も私も本が大好きなので、お互い長くいたい場所でしたが、教会が5時に閉まるというので、後ろ髪を引かれながら店を出ました。
滞在中にもう一度来て、本をたくさん買い込むつもりでしたが、その機会は残念ながらありませんでした。 

外へ出て少し歩くと、兄妹らしいふたりの子供が私の心を捉えました。カメラを向けると、はにかみながら、邪気のない笑顔を見せてくれました。
大きな輝く瞳が、穢れない心を伝えています。
旅先で出会う子供達はいつも本当にかわいくて、私は思わずハグしたくなります。
それをこらえてカメラを向けると、こんなふうに大人には決して真似できない穢れない笑顔に出会えるのです。

「子供が好きなのね?」

と、Maria が尋ねました。
「ええ。一人しか授からなかったけれど、できることなら3人は欲しかったわ。」

少し、Maria の顔が曇りました。
私は、自分の無神経な言葉を悔いて、話題を変えようとしました。
するとMaria が話し始めました。

「姪のソフィアがいることは前に話したわよね。
妹夫婦の娘よ。彼女は同じ名前のあなたにとても親近感を持っているのよ。
彼女が私にとっては娘のようなものなの。ヴァイオリンのアウラに通っているのよ。妹の家にも今度連れて行くからぜひ会ってね。」

Maria は微笑み、うるんだ瞳でそう言いました。
私はその時、少女のように繊細で傷つきやすく、優しさにあふれるMaria を、そっと心に抱きしめました。

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| ポルトガル | 22:09 | comments(0) | trackbacks(0) |

ターキッシュアンゴラとの出会い 5



昨夜、病院のロビーに泊まったHiromi は、今朝病室で一緒にハーブティーを飲み、i phone に充電してから、家路へと着きました。
無事に帰り着いたとの連絡にほっとしました。
私は今日外出許可をもらっていて、我が家の猫達に会いに帰る予定でしたが、あまりに大きな地震だったので、お迎えの友人のことも考え、明日に延期しました。
明日が待ち遠しい私です。

夕方、Francisco から電話がありました。
「地震、大丈夫だった?」と、ひとこと。
中国からの電話にしては声が近いような気がしました。
すると、「日本に帰ってきたからさ、明日病院に行くよ。」と言うのです。

「えっ? なんで帰ってきたの?」と私。
「地震のニュース聞いたからさ。」とFrancisco 。

「…う〜ん、心配して帰って来てくれたのに悪いんだけど、明日は来なくていいわ。」
「なんで?」
「ごめんね。…明日は猫達が心配だから家に行ってくる予定なの。」
「誰か送り迎えしてくれるの?」
「お友達がお昼過ぎに来てくれることになってるの。」
「わかった。じゃ、明日かあさっていくよ。」

せっかく飛んで帰って来てくれたのに、本当にごめんね。
君は優しい息子だね。 ありがとう!…と、口に出しては言えなかった私です。


Masayo とも連絡がつきました。 電話がなかなかつながらず心配していたのですが、無事の知らせです。
地震があった時は会社にいて、数分の差で倒れてきたキャビネットの下敷きにならずにすんだそうです。
帰りは日本橋から渋谷まで、何時間もかけて歩いたそうです。
かわいそうに、どんなに怖い思いをしたことでしょう!
家にはアンナ、マリナ、ムムの3にゃんが、無事に待っていてくれたそうです。
みんな無事で良かった。本当によかった。

Ryoko 一家も皆無事でした。
小さなベビーがいるので、本当に心配していましたが、ひと安心です。

Madoca さんからもメールが来ました。
やはり仕事場から歩いて帰ったそうです。
お家の中はガラスが割れてめちゃくちゃだったそうですが、ロシアンブルーのライライちゃんは怪我もなく無事だったそうです。今日はずっと抱っこしてました、と。…


大地震のニュースは世界中を飛び交っているようです。
TVは、どのチャンネルも地震速報で、甚大な被害を知らせています。
病室にいると外の様子は目にしないので、実感が湧かないのですが、TV画面を見ていると、まるで悪夢のようです。



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~~~~~ターキッシュアンゴラとの出会い 5 ~~~~~


翌日はお昼近くまで眠ってしまいました。

深い眠りから、心地よい目覚めへと導いてくれたのは、ダイアナの優しいタッチでした。
私の胸に前足をそっとのせ、パジャマのはだけた襟からのぞく私の肩に、ガチガチと小さく小刻みに歯を当てて、軽く噛むようなタッチです。
甘い痛みに目を開けると、私はダイアナを抱き寄せ、仰向いて、彼女を胸の上に乗せました。
ダイアナは、香り箱のポーズになり、目を細めました。

幸せな目覚めです。


旅は私を、取り巻くすべての現実から解き放ってくれます。
解き放たれた心は、新鮮な風と光を浴びて若やぎ、健やかな姿を取り戻します。
だから私は旅が好き!
 
異国の地で目覚める初めての朝は、まるで生まれ変わったように何もかもが新しい!

それだけでも嬉しいのに、まるでガーディアンエンジェルのように、ダイアナが寄り添い、優しく起こしてくれるなんで!
胸の上のダイアナの重みを、心地よく感じながら、もう少しベッドの中で過ごしたいと思いました。

その時、メイドの Sonia がドアをノックして言いました。
「ドナ・ソフィア、ドナ・マリアからお電話です。」
受話器を耳に当てると、Maria の弾んだ声が聞こえてきました。

今から迎えに行くので、支度をして待っているようにと言うのです。
Sonia が淹れてくれたコーヒーを飲むと、私は急いでシャワーを浴びてローブを羽織り、軽くメイクして髪を纏めました。
着替えが終わるか終わらないかのうちに、Maria の声が玄関のほうから聞こえてきました。
昨日のレストランでランチを食べてから、ポルトを案内してくれるそうです。

雨上がりで少し曇っていたけれど、雲の切れ目から差し込む光は、やがて晴れ渡る空を予感させました。
雨粒に光る緑が美しい町並みを通って、Maria の車は大学に着きました。

車から降りると、石畳の歩道をこちらへと歩いてくる、背の高い Manuel の姿が見えました。
ウィークデイはほぼ毎日のように、大学のレストランで待ち合わせ、長いお昼休みを二人で過ごすのだそうです。
車を降りた私達に気づくと、Manuel が遠くから手を振りました。

「ずっと恋人同士のようね。うらやましいわ。
私の夫は、結婚したら毎朝朝食をベッドに運んであげるよ、と誓ったけど、その誓いが守られたのは2日だけよ。
そして息子が3歳になる頃には、私の心の辞書から、恋というスイートな言葉は消えてしまったわ。
少なくとも夫に対してはね。」

「私達もかつては恋人同士だったことは確かね。
でも、恋愛の幸福というものには必ず終わりが来るわ。それなのに、悲しみには終わりがないわ。セラヴィー、ソフィー(それが人生よ。)」
Maria はフランス語を少し混ぜて応えました。

私は、彼女の言葉がそのまま歌詞になっている、"Felisidade"という歌を思い出して、そのフレーズを口ずさみました。

♪悲しみには終わりがない、幸せにはあるのに♪

Maria もその歌を知っていたのか、それとも覚えやすいメロディーだったからか、私の手を取って復唱して歌いました。
♪Tristeza nao tem fin, Felisidade sim ♪
まるで仲良しの女子高生のように、私達は手をつないで歌いながら、雨上がりの歩道を歩きました。Manuel の方へと。…

美味しいランチを終えて、食後のエスプレッソを飲みながら、Maria が私に尋ねました。
「午後は休講にしたので、あなたの行きたいところをリクエストしてちょうだい。Manuel が運転してくれるわ。彼は午後の仕事に戻るから、時間になったら私達は車を降りてタクシーを使いましょう。そのほうがあちこち自由に見て回れるわ。」

デミタスカップを端に寄せて、Manuel がポルトのマップをテーブルに広げました。
「ドナ・ソフィア、どちらへご案内いたしましょう。,いずこなりと仰せのごとく。」
わざと慇懃に尋ねるManuel に、私も慇懃に答えました。

「ポルトの歴史地区が世界遺産であることは存じ上げています。ぜひその地区を見たいのですが、それだけでは不足です。ガイドブックに導かれるままの旅はいやなのです、セニョール・ドトール。
私が関心ある場所は、美しい教会、美しい庭、美しい海岸です。そのほか、私が言ってみたい場所がいくつかあります。
アンティークショップ、本屋さん、ペットショップ、動物病院、そしてもし案内していただけるなら、…お墓。」

「お墓ぁ!?」
ふたりは目を丸くして、大声で聞き返しました。

「以前夫の海外赴任先に住んでいた時、お墓があまりにも美しかったので感動したの。
私はここに埋葬されたいと思ったほどよ。
私は日本の寂しいお墓がどうしても好きになれないの。昨年父が亡くなって、先祖代々のお墓に埋葬した時、ますますその思いがつのったの。冷たく光る四角い墓石のまわりは、低い石の塀で囲いがあり、墓石の両脇にお対の植木が植えられているの。そこは私にとって、お線香の匂いとともに、寂寥感が漂う場所なの。
私は、花が咲き乱れ、天使が翼を広げている彫像のお墓で眠りにつきたいの。愛するペット達と一緒にね。」

ふたりは顔を見合わせて、くすっと笑いました。
そしてManuel が言いました。
「ミーニャ・フィリーニャ、あなたはなんておかしな人だろう!なんてかわいい人だろう!」
ミーニャ・フィーリャ、とは、私の娘、という意味です。
ニャという語尾をつけてフィリーニャになると、小さい、とか、かわいい、とかの意味合いが強まります。普通は子供や若い娘さんなどに、親しみをこめて呼ぶ時に使いますが、お墓リクエスト以来、私はマヌエルに子ども扱いされるようになりました。

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ターキッシュアンゴラとの出会い 6 はまた明日
















| ターキッシュアンゴラ | 22:12 | comments(0) | trackbacks(0) |

地震

ニュージーランドの地震のニュースに胸を痛めていたのは、つい先日のことでした。
それが今日は日本で大地震です。
余りの揺れの大きさにびっくりしました。

ターキッシュアンゴラとの出会い5 はお休みにして、今日は地震について書きとめます。

今日は Hiromi がお見舞いに来てくれたのですが、地震があったのは、彼女が病院に着いてすぐのことでした。
この病院はウィークデーの面会時間が3時からで、彼女は3時に着く予定でこちらに向かっていました。

お花じゃなくグルメなお見舞いがいいわ、とリクエストした私のために色々見つくろってお買い物をしてから、東横線に乗った彼女でしたが、2時半過ぎに病院に着いたようで、「ちょっと早く着いちゃいました。」というメールがありました。
今思えば、ちょっと早く着いたのは大正解でした。
予定通りに着いていたら、地震で停まった電車の中に長時間いる羽目になったかもしれません。

私のいる病棟への入り口は3時までロックされているので、カードキーを持って迎えに行くと、Hiromi はインターフォンで入り口のドアを開けてもらったようで、輝く笑顔でこちらに向かって歩いてきました。

Hiromi は、とても美しい人なのですが、笑顔はさらに美しく 輝いているのです。
私は Hiromi の笑顔に出逢うたびに、心弾み、幸せを感じます。

幸せを感じたその時、大きな揺れがきました。
まるで大波に揺られる小舟のように、私達は右へ左へと大きく揺られて、目が回りそうなほどでした。
こんな大きな揺れは、生まれて初めてだと思います。
看護師が来て、病室のドアを開けておくように指示してくれました。

私達は本当に怖い思いをしたのですが、この時はまだ現実を知りませんでした。
夜になって、Hiromi が家に帰る交通手段がまったくないと知るまでは。……

とにかく落ち着きましょう、この建物は免震だから外にいるより安全だし、と言うと、素直な Hiromi も同意して、2人はなんとなく落ち着きました。
こんな一大事に、とりあえず落ち着いてしまうところが、私ってすごい? というより、脳天気で我ながら呆れてしまいます。

病室に入ると、Hiromi は i pod とスピーカーのセットを棚に置いて、小さなリモコンを手渡し、操作を説明しました。
BGMを持参したのでしょうか?

「これ、お見舞い。 私、使ってないから。」
えぇ? いいのぉ?
なんて素敵なお見舞いでしょう!
病室は、瞬く間にオーディオ付きのお部屋にバージョンアップです。

Hiromi は、それ以前に、私の i phone に内蔵の i pod に、300曲余りをダウンロードしてくれていたので、私にはそれだけでもありがたく十分でしたが、実際にスピーカーを通して聴く音色はやはり違います。
Hiromi の粋なはからいに感謝です。

次にHiromi は、テーブルセッティングを始めました。
ブルーベリーとラズベリーの柄が素敵なナプキンを敷き、ラタトゥイユやローストビーフ、大好きなアスパラガスのサラダ、クスクスや美味しいチーズなど、小皿に盛り付けてゆきます。
中でも嬉しいお料理は2種類のパテでした。パテ ド カンパーニュ と、彩りがきれいな鶏と春野菜のパテ。
私はパテが大好きで、中でもパテ ド カンパーニュ!に、目がないのです。

これでシャンパンがあれば完璧ね、と言いながら、私達はシャンパンの代わりに美味しいハーブティーで乾杯をしました。
ハーブティーも Hiromi のお持たせで、シンガポールで買い求めたとかで風味が良いのはもちろんですが、三角のパッケージがなんともかわいくオシャレでした。

時々感じる余震にドキっとしながらも私達のミニパーティーは続きました。
楽しい話、悲しい話、びっくりする話、と話題は尽きず、あっという間に時計は7時を過ぎてしまいました。
Hiromi の家には、スコティッシュフォールドのハニーデューとクレアがお留守番していたので、私は、もうそろそろ帰った方がいいわ、とうながしました。

それじゃあ、足のマッサージして帰るわね、と、これも持参のボディーヒールで優しく両足をマッサージしてくれました。
オーガニックのひまわり油やラヴェンダー、ペパーミントなどが調合された香りに癒される至福のひととき。…

とは言え、病院を7時半頃に出たら、家に着くのは9時近くです。
Hiromi のマッサージは永遠に続いてほしいほど心地良かったのですが、私のためにハニーとクレアにこれ以上寂しい思いをさせるわけにはいきません。
ハニーとクレアは、Hiromi にとって大切な子供達であるばかりでなく、私にとっても、かけがえない大切な存在なのです。

ハニーとクレアが無事なことはわかっていました。
Hiromi の相方さんからメールが来て、オフィスから自宅にすぐ見に行ってくれて、2人の無事を知らせてくれたのです。
2人の無事はわかっていたものの、やはりママがいないお家は心細いことでしょう。
優しい Hiromi は、私に気を使ってなかなか帰れないのです。
「早く帰ってあげて。」ともう一度Hiromi を急かし、病棟のドアまで送って行きました。

Hiromi は、「また来るわね。すぐ、また来るからね。」と、手を振って去って行きました。
…去って行きましたが、「すぐ、また来るからね。」の言葉に、余りにも忠実に、ものの5分と経たないうちに病室に戻って来てしまいました。
電車もバスもタクシーも、走っていなかったのです。

他の見舞い客達も、勤務を終えて帰ろうとしていた医師や看護師など病院スタッフも、皆、足止めになっているようでした。
私は Hiromi を泊めるべく、ナースステーションに行って、折りたたみベッドを病室に持って来てくれるよう頼みましたが、付き添いの宿泊は許可されないというのです。
誰に迷惑をかけるでもなし、静かに病室に泊まるのは、このような非常時にはゆるされるべきではと、看護師長にかけあいましたが、「地下1階の大会議室を、避難所として皆様に提供していますので、そちらにお泊りいただくようお願いします。」と言われてしまいました。
ヒ、ヒナンジョ?! って、あの体育館とかの避難所と同じ、避難所ですか?? ……私はここにきて始めて、今日の地震が、いつもの地震とは違うと認識するに至ったのです。

大会議室の様子を聞くと、男女同室の雑魚寝状態とのこと、若い女性1人で、その中で寝かせるのは忍びないことです。
Hiromi も、「ベッドなんて貸してくれなくていい。この椅子に座って朝まで過ごせればいいのに。」と、困り果てています。
面会時間は8時までで、そろそろ終わる頃、病室の外はざわついています。見舞い客が退散し始めているようです。
皆、大会議室に向かっているのでしょう。

消灯は10時、夜中の見回りは12時、明け方4時にもう一度見回りがあります。
その時間にバスルームに隠れていれば、なんとかこの部屋で朝を迎えられるのでは、と考えてみたり。…
けれど、結局は消灯を前に看護師が来て、礼儀正しく丁寧に、なおかつ、きっぱりと、病棟を出るように促しました。
もう観念するしかありません。
Hiromi には私のスウェットを着てもらい、見送ることにしました。

すると運の良いことに、地下の大会議室がいっぱいになったようで、1階のロビーで寝ても良いと言われました。
比較的新しい病院なので、ロビーはとてもきれいです。
会議室の床にお布団を敷いて寝るよりは、ロビーにある3人がけのソファーに横になる方が 少しはましでず。
しかもソファーなら背もたれが視界をある程度さえぎってくれますし、ソファーとソファーの間はかなりあるので、お隣りを気にしなくてすみそうです。
私はクローゼットからバスタオルを3枚取り出してHiromi に手渡しました。
ソファーに敷く分と折り畳んで枕にする分です。
ロビーは広々としているかわりに寒いのではと心配ですが、毛布は貸してくれるでしょう。

というわけで、今は同じ建物の中にいながら、Hiromi と私は5階と1階に離ればなれです。
明日の朝は電車は動くのでしょうか?
Hiromi の心細い気持を思うと眠れず、TVをつけて地震の大きさを知ると、遅まきながら恐ろしく不安でいっぱいなりました。
被害はだいぶ大きいようです。
友人達は皆無事でしょうか。

被災地の方達はどれほど恐ろしい思いをしていらっしゃることでしょう。
今夜はとても眠れそうにありません。……












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